CHELSEA'S NOTE ~ 英国が好き!

心が求めて止まない国 英国。  美しい英国の街や村をぶらっと散歩している気分になれるような               そんなページを作っていきたいです。

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Upton Grey1

ここはロンドンの南西のアプトン グレイという村にあるマナーハウスです。
2008年発行のRSVP第3号に蘇ったガートルード・ジーキルの庭として紹介されていたのを見て いつか訪れてみたいとずっと思い続けていた場所です。

ガートルード・ジーキルさんは19世紀から20世紀にかけての英国を代表する女性ガーデンデザイナーです。
彼女はそれまで主流であった風景式庭園の枠にとらわれず身の回りにある身近な植物を好んで使い その色彩を綿密に配置することによって自然な姿でありながらも極めて美しいガーデンを作るというイングリッシュガーデンの流れを生み出した人です。 

彼女は生涯で200もの庭園を設計したといわれていますが、庭園の主役が美しい色彩を構成する草花であったため その維持管理が難しく 当時のままの姿で現存しているガーデンはほとんどないそうです。

Upton Grey2

現在の持ち主 ウォーリンジャー夫妻はこのマナーハウスの購入にあたってその歴史について調査を進めていくうちに この屋敷の庭をデザインしたのがまさにそのジーキルさんであったという事実に出会いました。
夫妻はこの貴重な庭を復活させることを決意し 庭の設計図を探し出し 長い長い年月をかけて気の遠くなるような作業を続けてみごとにこの庭を蘇らせました。

膨大な手間をかけて手入れされた庭は想像を絶する素晴らしさでした。
屋敷からつるバラのからむ可愛らしいアーチを通って進むと目の前に色とりどりの花が植えられた美しい景色が広がります。
5月の終わりの庭にはピンク色の大輪の芍薬がたくさん咲いていて見事でした。

Upton Grey8

妻のロザムンドさんからいただいたマナーハウスの全貌が描かれたカードです。

このお屋敷の元の持ち主はチャールズ・ホームというアーツ&クラフツ時代を生きた実業家でした。
彼は大の日本美術愛好家でもありました。
1889年にはリバティ夫妻(ロンドンのリバティ百貨店の創業者)と日本を旅行し 京都の並河靖之氏が手がける七宝など日本の優れた美術を西洋に紹介し、その後の欧州でのジャポニズム流行に大きく貢献することになった人物です。

ジーキルさんがデザインしたオリジナルのカラースキームガーデンがどんなものなのかこの目で見たくて この場所にはるばるやってきたのですが、時間をかけてガーデンをめぐるうちになんとなく馴染みのある 何か を感じ出しました。

Upton Grey3

ここは先程のカードの上の部分に描かれている Wild Garden の池です。
私たち日本人にとってはこの庭を見てもあまり違和感を感じなくて気づきにくいのですが、池の縁にある自然のままの岩 これは護岸の景色を模した岩組のようなかんじです。

この時代以前のヨーロッパでは 人間は自然を支配するという立場であったのか 岩はまっすぐに切り出したり 彫刻をほどこしたり加工して使うもので自然のままの岩を庭園に取り入れることはありませんでした。

一方日本では自然の岩をそのままの姿で 庭園の主役として向きやバランスを熟考して据えることによって それを見る人の内面の世界をいかに引き出すかというのが庭師の腕の見せ所でした。 


他にも菖蒲と蓮の風景。
思い立って「iris garden」と英語で画像検索をかけてみると 英語圏の菖蒲の庭の画像がたくさん出てくるのですが、現代でさえもほとんどが普通に花壇に植えられていて こんなふう水際に植えられているものは出てきません。
これって日本庭園の風景なのでは。

そういえば 先程の見たガーデンでメインに植えられていたのは バラではなく芍薬でした!

Upton Grey4

そしてこれはさっきのカードの右下に描かれていた低木の林のような場所です。
なんと植えられていた木はすべて桜!  桜の園だったんです。
庭をめぐるうちに感じた 何か とは そう 日本でした。

もしかすると庭に日本風を取り入れることは日本愛好家の施主の意向だったのかもしれません。
当時日本には英国から招かれて鹿鳴館や岩崎弥之介邸・旧古河庭園などの設計を手掛けたジョサイア・コンドル教授という人がいました。(チャールズ・ホームさんとも親しかった!)
ジーキルさんの著書によると彼女の日本庭園の先生はそのコンドル教授だったそうで、その記述を見ると日本庭園の神髄である思想性の部分にも触れられていて 深い知識と考察をお持ちだったことが伝わってきます。

鎖国が終わり世界との交流が始まった日本と地理的によく似たはるか遠くの英国。

英国を代表するガーデンデザイナーであったジーキルさんの庭に取り入れられた日本の風景。
興味深いことに日本を代表する京都の作庭家 七代目小川治兵衛さんが山縣有朋とともにそれまでの京都の庭園の枠を越え苔ではなく芝を敷いた現代につながる名庭園「無鄰菴」を作庭したのもちょうど同じこの時代です。

2つの伝統ある国が自国の自然を愛し文化に誇りをもちながら 一方でお互いに強い憧れを抱いて惹かれあう時代の息吹を感じさせてくれる ここはまさに文化遺産ともいえる貴重なガーデンなのではないでしょうか。

Upton Grey5

ロザムンド・ウォーリンジャーさんです。
この大事業を始めてから30年。
尽きることのない情熱と信念を持って歴史的 文化的に計り知れない意義のある偉業を成し遂げた彼女に心から喝采を送りたいと思います。

そして いつの日か彼女が日本を訪れる日が来るといいなあ と願っています。
一緒に小川治兵衛さんの庭やジョサイア・コンドル先生の庭を巡ってみたい。



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